「ごちそうカントリー」取材記 (BackNumber)

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 静岡県の民放静岡第一テレビに「ごちそうカントリー」(毎日曜日AM11:40〜AM11:55)という番組があり、私はその番組のリポーターを勤めています。JA提供の番組で、静岡県内の農産物を生産者の方と共に毎週紹介していくものです。今年度で担当5年目になりました。
 最初は農業について知識ゼロだった私が、取材していくうちに野菜の逞しさや弱さ、農業の知恵、自然の営みのすごさを結果として学んでいくことになりました。
 その取材を通して得たもの、感じたことなどを少しずつ書いてみることにしました。筆不精の私が毎週書けるとは思えませんので、書ける時に書くというスタンスでやっていきたいと思っています。
 なお、それぞれのタイトルにある日付は放送日です。
(写真をクリックすると、大きな写真がご覧になれます)

20190707(日) とうもろこし「富士山麓わくわくコーン」(富士市)

  −雨の後晴れる日が続くとと糖度が上がる− (写真提供:JA富士市 望月 綾さん)

  取材先は富士市の望月太郎さん・陽帆さん(奥様)の畑。3年ほど前に誕生したとうもろこしで、名前は「富士山麓わくわくコーン」。JA富士市でも3年前から栽培を始めた新しい種類のとうもろこしです。甘味が強いのはもちろん、粒の皮が薄くて柔らかく歯に挟まりにくいのが特徴です。
 雨が続くと糖度が下がるそうです。2日雨が続くと糖度は14度〜15度になる。逆に雨の後晴れると糖度が上がるそうです。2日晴れると18度〜19度に、5日晴れると20度を超えるそうです。

  「わくわくコーン」に限らずとうもろこしの収穫は朝早いのが有名です。何故早いのかというと「甘さを逃がさないため」だそう。とうもろこしの糖分は太陽の光を浴びて光合成が始まるとエネルギーとして使われ、甘味自体は減ってしまいます。ただ昼間はエネルギーを使って栄養と糖分を作り出し、暗くなったら実に蓄えていくという仕組み。だから朝暗いうちからの収穫なんですね。
 ちなみに望月さんは朝4時から収穫するそうです。


 JA富士市女性部 大渕支部の皆さんに作って頂いた料理は
  「わくわくコーンのまぜご飯とテンプラ」。絶品でした。
 左の写真は我々がお手伝いで粒をバラしている場面ですが、最初に粒の並びの縦1列を包丁で切り取ってから作業しました。きれいにバラバラにすることが出来ました。



 「富士山麓わくわくコーン」は、
  ・生で食べるとすっきりとした甘さ。
  ・茹でたりレンチンするとこくのある甘さ。
  ・熱を加えたものを一晩冷蔵庫で寝かすと、甘味が落ち着いてなめらかな甘さになるなと思いました。



20190630(日) メロン(牧之原市)

  −実に近い葉が枯れてきたら収穫のサイン− (写真提供:JAハイナン 増田しほみさん)

 取材先は牧之原市の静波海岸近く、加藤さんのハウス。大変なのは水の管理だそう。梅雨時など雨がたくさん降るとその水分を吸い上げて、メロンの実が割れてしまうのだと。長雨が続く時は生育具合を見ながら早めに収穫するそうです。
 磐田や袋井と同じように一株に1個の実で中身の充実を図ります。最初は候補を3個に絞るそうです。その後の生育状況を見ながら、最終的に1個だけ残し収穫するとのことでした。

 収穫体験したメロンをそのまま切って頂いて試食。収穫直後はどうなんだろう?と思いましたが、多少の固さはあったものの甘味は十分でした。
 生産者の加藤さんは「やはり1週間くらいおいた方が柔らかくなって食べやすく、よりおいしさを感じられるよ」とおっしゃっていました。



 メロンに一番近い葉を「止め葉」と言うそうです。収穫時期はその止め葉の色が抜けて茶色く枯れてきたらそのサインとのこと。(品種にもよるそうですが)
 交配した時期を記録しておいて、品種による収穫目安日数と葉をしっかりチェック。穫り時を逃さないようにしているそうです。

 半分カットの状態のメロンをスプーンでくり抜きながら、果汁も残さず食べられる「贅沢食い」をしたいな、と思う今日この頃です。

20190623(日) たまねぎ(御殿場市)

  −タマネギの茎が倒れたら収穫時のサイン− (写真提供:JA御殿場 杉山大介さん)

 取材先は御殿場市板妻の勝又さんの圃場。テーマは「新タマネギ」。圃場に着いたらまず軒並み茎が倒れているのにビックリ。強風でも吹いたのかと伺ったら、何とこれは収穫時のサインだそうです。倒れた1週間後が収穫適期とか。非常に親切な野菜ですね。
 新タマネギは4年前からの取り組み。標高が高く冷涼な気候なので、出荷時期が浜松よりは遅く大産地北海道よりは早い。新タマネギの品薄時期を埋める存在として期待されていて、この御殿場産タマネギをブランド化しようと試みています。

 植え付けから、消毒、収穫時の茎切り・根切り、収穫作業などかなりの部分は機械化され、農家の負担を軽くしています。ただ収穫は機械任せには出来ない部分もあり、手で大事に収穫する必要もあるそうです。
 耕作地は水田だった所です。水田としてはもう使わないのかを伺ったら、水田に戻す復田(フクデン)はするそうです。水田に戻すのは大変な作業ではあるけれど、復田して再度水張りをするという工程は土地のリセットになるそうで、連作障害の防止になるとおっしゃっていました。

 「御殿場こしひかり」をベースに地場産品を使った料理コンテスト「ごてんば米コン」も2018年度に6回目を迎えました。
 今回は御殿場産タマネギを必ず使用するレシピを募集。
 その最優秀賞レシピを考案した方と共に料理を紹介しようという回でした。



◎一般部門 最優秀賞は倉敷純子さん。
   「たまねぎ とツナの生ふりかけ」
◎小中学生部門 最優秀賞は北村優津希(ユヅキ)くん小4(現在小5)
   「野さいシャキシャキみんな食べられるハンバーグ」
 入賞者のレシピは 学校給食・保育園給食でも使われるそうで、既に北村優津希くんのレシピは給食で出たそうです。

20190616(日) 函南西瓜(函南町畑毛)

  −受粉は一つずつ手作業で− (写真提供:JA三島函南 木下奈都季さん)

 取材先は函南町畑毛の杉崎さんの畑。テーマは「函南スイカ」。ブランドとして定着してきました。
 驚いたのは育苗開始時期(4月)接ぎ木をするということです。スイカは連作を嫌う植物です。5年は空けなくてはいけないそうですが、現実にはなかなか難しい話です。そこで別の植物の根を土台に接ぎ木をして連作障害を避けるという訳です。さらに普通に接ぎ木した場合、活着率(接ぎ木成功確率)は7割程度なのだそうですが、近年LEDを利用して活着率が9割ほどに増加したそうです。

 虫があまり飛ばない最初の時期は一つずつ人手による受粉です。地面を這うようにする受粉作業が大変だとおっしゃっていました。
 気温が上昇してミツバチなどが飛び交うようになると、自然に受粉して次から次へとスイカの赤ちゃんが誕生していきます。摘果しないと良い玉にはなりません。摘果したものは廃棄処分です。
 摘果した子メロンのように浅漬けにして食べられないか伺いましたら、やっている農家もあるそうです。そしておいしいとのこと。
 子スイカを店頭に出さないのかと聞きましたら、手がかかりすぎるので出来ない、とのことでした。

 函南スイカのランクは「秀」「優」「良」の3つ。ポイントは中に「ス」が入っているかどうか、形がいびつでないか、傷が付いていないかです。傷については目立つものは農家段階ではねられます。
 形は見た目で分かりますが、問題は「ス」が入っているかどうか。函南では叩いてその音で判断します。「ス」が入っていれば低めの音、入っていないものは高めの音がするそうです。実際に並べて比較すると、なるほど分かりました。放送でも音声さんがマイクを近づけて録りましたのでご覧になった方はお分かりになると思います。でも単体だと熟練しなければ分からないと思いました。担当の長谷川さんも最初の研修1年目はとても難しかったそうです。
 味ですが「最低11度以上」という条件になっているので、どのランクも変わらないそうです。「ス」の入ったものはそれだけ熟している証拠で、より甘いんですって。ある方が「自分が自宅用に買うんだったら迷わず「良」を買う」ともおっしゃっていました。おっと、これは内緒ですよ。

 道具の一つに魅せられました。それは「スイカ専用包丁」。刃渡りは40p弱の大きな包丁です。普通の包丁なら一回では切れない大きなスイカが一発で難なく切れます。
 「欲しい!」と叫んだらディレクターの石川さんに、「スイカ以外の何に使うんですか!?」といつものように問われ、二の句が継げなかった私でした。



20190609(日) あしたか牛 (長泉町)

  −個体識別番号管理システム− (写真提供:JAなんすん広報 大嶋知美さん)

 取材先は長泉町上長窪。品質の高い肉牛「あしたか牛」が今回の取材テーマでした。
 あしたか牛の生産者"は、現在 6軒 で、およそ1000頭の肉牛を育てています。肥育期間は牛舎によりますが、訪れた加藤さんの所では生後2か月の子牛を25ヶ月育てて出荷しているそうです。
 どの生き物もそうですが、牛の場合暑さとストレスが生育に大きく影響します。愛情をもって育てることはもちろん、定期的な「血液検査」の実施で健康状態がチェックすると共に、そのデータをもとに講習会などを実施して全農家で品質の高い健康な牛に育てる努力をしています。
 また富士宮牛乳の牛舎もそうでしたが、こちらの牛舎にも「オガクズ」が敷いてありました。排泄物などの水分の吸収も含めて清潔を保つうえで欠かせないと加藤さんもおっしゃっていました。

 それにしても牛は好奇心旺盛です。この連中は危険ではなさそうだと感じたところから寄ってきます。ロケ中に、油断していたディレクターがズボンを舐められて慌てていました(^_^)
 左の写真は鳥越佳那アナが牛をバックに自撮りしようとして、牛の鼻息を感じた瞬間シャッターを切ったものです。
   牛の目がなんとも可愛い!
 牛の鼻息の温かさに、なんとも言えない表情をしている鳥越アナでした。

 牛の耳に付いている番号札ですが「個体識別番号」です。重複することのない生涯唯一の10桁の個体識別番号をすべての牛につけ、各牛にそれぞれの番号を印字した耳標を装着することにより、牛を識別・管理するための番号です。
 牛の生年月日、出生地、性別、品種、親牛のデータ、流通経路等がすべて分かるようになっています。
 実はこの「個体識別番号」は、流通の最終段階である小売店の値札シールにも必ず印刷されています。独立行政法人家畜改良センターの「個体識別番号の検索サイト」に行けば誰でも調べられるのです。
 機会があったら検索してみて下さい。

20190602(日) 梅 (島田市)

  −1個1個手摘みで収穫− (写真提供:JAおおいがわ広報 石川智浩さん)

 取材先は島田市の伊太(いた)地区。おいしいお茶も採れる所ですが、「梅」で有名な産地なんです。肉厚で香り高い梅が産出されることで知られています。
 この地区はとにかく選別基準が厳しい。少しでも傷のあるものははねられてしまいます。はねられた実を「B級品」として販売してもらいたいと心底思いました。品質には何の問題も無し。風によって葉っぱが擦れただけで傷になってしまうこともあるんですから。
 収穫方法についての私のイメージは木を揺らして地面に広げたシートに実を落とし集めるというものでした。しかし一個一個手で採るとのこと。選別基準を考えると仕方ないのかもしれません。そうは言っても圃場に50本はあろうかという梅の木の実です。かてて加えて栽培場所は30度はあろうかという急斜面。生産者の萩原さん・北川さん共に私と同年代の方たちですから頭が下がりました。

《おいしいをつくりましょ》コーナーは「おいしい梅酒の作り方」
 完熟の梅を使うと濁ってしまうので必ず青いもの(一部に黄や赤が入っているくらいは良い)を使うとのこと。大事なのは梅の実を3〜4時間水に浸けての「あく抜き」。以前作った時に「あく抜き」をしたかどうか覚えていなくて不安になりました。。左の写真は竹串を使ってヘタを取っている様子です。丁寧にヘタを取ることにより、エグ味の無い爽やかな味わいになるとのこと。

20190526(日) 富士宮牛乳 (富士宮市)

  −ノンホモ牛乳に感動− (写真提供:JA富士宮広報 大塩里紗さん)

 取材先は富士宮市下條の佐野牧場。何と言っても楽しみだったのは久しぶりに飲める「ノンホモ牛乳」。「ノンホモ牛乳」とは「ホモジナイズ」していない「ノンホモジナイズ」牛乳のこと。
 「ホモジナイズ」とは搾った生乳に圧力を加え中の脂肪球を均一に細かく砕く加工処理のことで、脂肪分が分離しないように処置をした牛乳。脂肪球が細かくなることで表面積が大きくなり、胃腸での消化吸収が良くなるといわれています。
 「ノンホモジナイズ」は低温殺菌法で、搾りたての成分に近い状態の牛乳を作る方法。
 久しぶりに飲んだ「ノンホモ牛乳」、とにかく美味しかった! 味は濃厚なんだけれどさらっとした口当たり。さらっとしている中にも生クリームの味が口中に広がります。さらに一歩進んで「バターになるぞ!チーズになるぞ!」という風味も感じられます。
 静かに置いておくと脂肪分が他の成分と分離して浮き上がります。まさにその分離した部分が生クリームです。混ぜればいいんですけどね。一般の牛乳はそれを避けるためにもホモジナイズ処理をするという訳なんです。
 でも63度〜65度の低温殺菌に30分かけるので大量には作れません。スーパーで売られている牛乳のほとんどは120度〜130度の超高温で2秒間だけ殺菌する方法ですから効率的には勝負になりませんよね。しかも賞味期限も短い。手に入りにくい訳です。

 佐野牧場は同じ富士宮の観光農場「まかいの牧場」と連携しています。
 乳牛の幼少期、「まかいの牧場」に預けるそうです。「まかいの牧場」は、当然たくさんの観光客の訪れる場所です。その結果、
   → 人に慣れる
   → 人間によるストレスの少ない牛に育つ
   → 牛乳の出る量に変化の少ない状態を作り出せる
   → 品質の高い牛乳を作れる
 牛舎での飼育に関しても、佐野牧場ではより美味しい牛乳を生産するため細心の注意を払っています。温度管理や飼料はもちろん、牛舎に敷くのも単価の高い「オガクズ」を使用。世話をする佐野家次男の佐野圭祐さんはこう言います。
  「1日4回ベッドメイクして清潔を保つようにしています」
 牛舎の掃除をベッドメイクって言うんですね。それだけ大切な牛たちなんですね。

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